たとえばケガをして病院で然るべき治療を受けたとします。その際には病院に対して健康保険証を提示します。そして窓口で支払う料金は、請求書に記載されている全額ではなく、その一部のみの負担で良しとされます。どうしてこのような仕組みになっているのかと言うと、これは日本においては公的医療保険が存在しており、それによって治療や診療にかかった費用の一部が負担されているためです。

つまり健康保険証を提示するのは、自分が公的医療保険の被保険者であると言うことを証明するためです。そして窓口で支払う料金が一部負担でも良いのは、公的医療保険の補助を受けることができているためです。では医療サービスの対価として、それを受けた利用者が支払わなくても済んだ、残りの部分の料金についてはどうなっているのかと言うと、これは病院などが公的医療保険の保険者に請求することで支払われます。利用者が支払わなくても済んだ部分、保険者に対してその支払いを請求する部分のことを診療報酬債権と言います。

診療報酬債権は文字通り、債権です。ですから病院などにとっては、時に財政を悪化させる要因にもなりかねません。保険者に請求していれば必ず診療報酬債権に対する報酬は支払われるのですが、これにはある程度の期間を要します。そこでその期間を短縮するためにあるのがファクタリングです。

これはファクタリング業者が公的医療保険の保険者に対して働きかけることで、診療報酬債権がだいたい8割程度の価格で買い取られ、その分のキャッシュが支払われると言う仕組みのことです。ファクタリングを利用すれば、全額ではないものの診療報酬債権分の報酬が入ってきて、なおかつ債権としての扱いが減少するので財政健全化などの効果を期待することができます。

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