病院、診療所などを営んでいる場合、患者の診療をしたあとの代金にあたる診療報酬は、国民健康保険団体連合会または社会保険診療報酬支払基金に請求し、そこから公費負担分が支払われるというかたちになります。しかし、実際の請求から入金があるまでの期間というのは、途中でトラブルもなく順調に手続きがすすんだとしても、だいたい2か月程度といわれており、かなり現金を手にするのが遅くなってしまいます。この間は診療報酬債権として、お金を受け取る権利はあるものの、実際に現金化はされていない状態ということになります。しかし、現金の需要というものはいつでも発生するわけですので、診療報酬債権が現金化される以前の段階でも、なんとか手当をするしくみを考えなければなりません。
そこで登場したのがファクタリングとよばれるしくみであり、診療報酬債権をファクタリング会社が買い取って、そのかわりに病院などは現金を手に入れることができるというものです。実際に診療報酬を請求した場合でも、国民健康保険団体連合会などのチェックが入り、減額されてしまうことなども多いことから、このファクタリングで受け取ることができる現金の金額というのは、診療報酬として請求した金額の8割程度が限度といわれていますが、これは個別の審査などによっても変動します。なによりも、ファクタリングを使った場合には、申し込みから迅速に会社による審査が行われるため、数日以内といった短い期間内で、単なる債権を現金化することができるという点が、大きなメリットであるといえます。